La sotise, l’erreur, le péché, la lésine,
Occupent nos esprits et travaillent nos corps,
Et nous alimentons nos aimables remords,
Comme les mendiants nourrissent leur vermine.
Charles Baudelaire 《Au lecteurs》
in 《Les Fleurs du Mal》
愚かさ、過ち、罪、吝嗇に、
あたまは占められ、身はさいなまれ、
親愛なる悔恨どもを養って、われら、
ノミ・シラミだらけの乞食さながら。
シャルル・ボードレール「読者に」
in『悪の華』
ウォーキング中のことが多い夜の6時から8時頃
日はどんどんと短くなり
暗くなっても数日前まで蜩が鳴いていたり
死にかかった油蝉が最後の声を絞っていたりしていたのが
今ではもう木々の上から秋の虫の降るような声
鋭いので聴いていると脳に穴が開くようだ
北の丸公園の森の中を進んでいると
遠い街灯のあかりでどうにか足下が見える程度
木々や土や柵や岩のありようは掴めるが
目を凝らしても暗すぎてよくは見えない
闇はいつでも別の目をすみやかに開かせてくれる
闇の中を歩く習慣が絶えると人間は衰える
皇居を囲む壕の水面はなめらかではなく
盛り上がったり濁ったりが斑となって広がっている
闇の中の水面を見続けて学べることのなんと多いことか
あそこに落ちたらずいぶん怖いだろうと思いながら
たゞ水の中に落ちてしまっていないだけでも幸せに思う
奇妙な幸福感だが幸福感とはそのようなもの
万が一あそこに落ちてしまったりしたら
壕に人食い鮫がいないだけでもきっと幸せに思うのだろう
速度を上げて歩くと無心になるという人もいるが
想念はむしろ激しく浮き上がってきて次々意識上を交替し
押し殺していた疑念や不満や怒りは強度を増して沸き立つ
森の闇の中をむしろ危うい思いの沸騰を抱えて通過していく
壕の暗い水面をむしろ造反有理革命無罪… に近い思いで見続けていく
あゝ世界はもっともっと急速に不幸に残虐に荒れ狂うように!
という思いに到るかというところで想念は急展開して交替し
どこかのSNSで見た間抜けな猫が箪笥から転がり落ちる様が
急に思い出されて脳は造反有理革命無罪…を笑い飛ばしてしまう
警視庁近くからはライトアップされた桜田門の白さが美しく見える
井伊直弼の切られたあたりに来ると闇の中に浮かび上がる抽象的な 白だ
なんとなくいいものを見た気になってしまうのは
天皇陛下万歳的な心的陰部がもぞもぞしてのことなのか
それとも徳川家こそ御大事の武士の末裔としての精神が顔を上げる のか
それともそれとも観光っぽいことにすぐにポーッとさせられてしま う
ミーチャンハーチャンの系譜がインスタント陶酔しちゃうのか
たぶんそれだろう、ミーチャンハーチャンの系譜の愚かしき我!
外的なつかの間のものへの反応に終始して
つねに真なるもの永遠な るものを
つねに真なるもの永遠な
取り逃して一生無限道草していくばかりの無為の王、我!
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