愛という
娘と妻と犬と猫がいるので
かれらを呼ぶとき
愛!
愛!
と大声を出す
ことに
なりがち
ことに
なりがち
どうしても
そうなる
どの愛か
どんな愛か
うちでは
いつも問題になる
神野
というのが
うちの名字なので
娘は
カミノアイ
妻も
カミノアイ
となる
神の愛
みたいでややこしい
病院とか役所とか学校とかで
カミノアイさん
と呼ばれるとき
ハッとして見まわす人がいるが
あれ
きっと
敬虔なキリスト教徒だ
アイ
という名でないのは
わたしだけ
成長して
いじわるなところも出てきた娘は
パパには
愛
がないから
と言う
妻も唱和するように
そうよ
むかしから
愛
が足りないのよ
とか言う
犬の
愛
も
猫の
愛
も
ここぞとばかり
ここぞとばかり
ワンワン
ニャアニャア
唱和したり
しやがる
ひとり寂しく
わざとエレベーターを使わずに
愛
のない
マンションの階段を
昇降していたりするとき
そこの
愛
のなさに
ホッとする
愛
のなさに
安らぐ
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