殺されるために生まれてくるひとがいる
無視されるために生まれてくるひとがいるように
土台もハシゴもたえず外されるために生まれてくるひとがいるよう に
仕事の途中でじゃまされ続けるために生まれてくるひとがいるよう に
宿命はいつも透明で
エアコンのほどよく効いた清潔な部屋の
やすらぎのひとときのように
ひとを透明な屠殺場に
いつのまにか
導いていく
そんなことを
また
思いながら
茶室を出ると
楓林
まだ葉はみどり滴るばかりで
紅く染まるには
まだ
間がある
宿命の
楓林の燃え上がるような紅に
殺されるために
生まれてくるひと
の
わたし
となるか
晩秋
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