中年に達した男というものは、 女から絶交を申しわたされることには耐えられても、 身体を値踏みするある種の視線、自分をほかのだれか、 自分の知らぬ男、 目に見えぬ人物にひきくらべる女の視線だけは絶対に恕せない。
コレット『シェリ』(工藤庸子訳)
韓国で
次の法相になるかもしれないチョ・グクさんの
釈明会見というのか
みそぎ会見というのか
そんな性質の会見映像を見ていて
あ、やばい!
と思ってしまった
髪の毛が
である
54歳だというが
たっぷり髪の毛があり
七三分けか
六四分けぐらいにしている
若々しく見える
右側の髪の多いほうなんぞ
ゆたかな膨らみがある
ヴォリュームがある
どちらかというと若者むけの
ちょっと古くも見える髪型だが
それをまだ保っていられる
そこに魅力がある
売りがある
前にちょっと垂れた白髪も
おしゃれなエクステみたいで
ちょっと
ステキかも
しかし
だ
たびたびお辞儀をするので
頭を下げるので
頭頂部が
何度も何度も
よく見えてしまう
で
わかってしまう
やばい!
髪の毛の分け目が
左右にかなり広がり出している
肌の露出が進んでいる
頭頂部を通り越して
後ろのほうまで
進んできているぞ
林道が
防火帯が
どんなに若く見えるようでも
あの歳になると
毛根は弱くなってくる
なのに
若者のようなヴォリューム感たっぷりの
七三分けだ
六四分けだ
右側が重すぎる!
ゴダールも言っていただろう?
「右側に気をつけろ」*って
あれはジャック・タチの出た
ルネ・クレマンの「左側に気をつけろ」**への
オマージュみたいなものだが
チョ・グクさんの分け目は左側にあるから
ルネ・クレマンの忠告もやっぱり大事
分け目はどんどん太くなるぞ
サカヤキになっていく
サカヤキはニッポンの象徴みたいなもんだぞ
立場上まずいだろ、そりゃ?
トレードマークのひとつらしいが
その髪型
思い切って
早急に変えないと
やばい!
やばい!
やばいよ、チョ・グクさん!
54歳にもなれば
頭に目立ちはじめる林道や
防火帯には
たいてい
奥さんや娘さんが
舌鋒するどい批評を浴びせかけるもの
行きつけの美容室だって
お客さま、そろそろこういう髪型は……と
それとなく引導を渡してくる
チョ・グクさんの
あの分け目の拡大傾向を見ると
そうか、この人
奥さんや娘さんとの関わりかたって
こういうことだったんだ
と
わかってきてしまう
美容室とのつき合いかたも
こういうことだったんだ
と
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