2019年11月23日土曜日

ダメになった人がダメさのまゝでいるところ


  
「洗骨」*という映画を見て
いいなあ
と思ったのは
人に裏切られて会社が倒産してしまってから
妻や息子に借金返しをやらせながら
じぶんひとり
まったくのダメ男になってしまった男が出ていたこと

奥田瑛二が演じていたのだが
なんか
こういう男をちゃんと出してくる映画は
ひさしぶりで
いいなあ
やっぱりダメ男って
すさまじい物語の渦を観客の心に巻き上がらせるよなあ
昨今ずいぶん型に嵌まって
21世紀型の窒息をし出している物語界を思いながら
顧みるようだった

ダメになった人が
ダメさのまゝでいるところには
かならず
未来がつむじ風を立てる

いまのニッポンのよくないところは
ダメになったと見せてしまわずに
そこそこ大丈夫なように
小ぎれいにプレゼンしてしまう術を
なさけないことに
だれもが身につけてしまっているところだ

あゝ ダメになってしまいました!
わたし
こんなにダメになって
もう もう
さいはてまで来てしまいました!
そう見せて恥じない度量を
みんなが
失ってしまったところだ






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