流行にくすぐられて
小学校1年生(!)で
バンドを
結成したことがあった
その時に
メンバーたちの視野にまったく入って来なかった
ぜんぜんカッコよくないと見えていたグループ・サウンズの
ヴィレッジ・シンガーズと
ザ・ワイルドワンズ
の
代表曲が
これ
・ヴィレッジ・シンガーズ「亜麻色の髪の乙女」
https://youtu.be/7aGmPZtu5bc?
・ザ・ワイルドワンズ「思い出の渚」
https://youtu.be/2JRBvfoPKck?
小1の仲間たちの意識にあった模範とすべきグループは
アメリカのモンキーズや
日本のザ・タイガース
ザ・テンプターズ
オックスなどで
まあ
だいたいはお決まりの
長髪
ワイルドなイメージの
グループたち
ヴィレッジ・シンガーズは
短髪のサラリーマン風
優等生的な容姿
中流的
あるいはちょっと上流的
そんなイメージで
学生運動とグループ・サウンズ真っ盛りの時代の子どもから見ると
いちばんカッコよくない系の
お兄ちゃんたち
ザ・ワイルドワンズはもっと長髪だったが
イメージは微温的で
中途半端
リーダーの加瀬邦彦など
若いのに
もう髪を横にピッタリ撫でつけていて
若ハゲを隠してでもいるように見えた
なんとなく
すでにして
横山ノック
実際
ヴィレッジ・シンガーズは
成蹊大学や成城大学のお兄ちゃんたちだったし
加山雄三が命名したザ・ワイルドワンズは
加瀬邦彦という慶応のお兄ちゃん
鳥塚しげきという立教のお兄ちゃん
早稲田の植田芳暁というお兄ちゃんたちが中心で
品行方正
毒ナシ
オジサン予備軍にしか見えず
子どもには
魅力がなかった
なんだか
中年のオジサンの世界で流行っていた
ムード歌謡の若向けの延長
みたいに
見えた
ところが
彼らのシンプルな代表曲はみごとに時代を生き延びて
浅薄ではあっても
若者ならではの
甘いロマンティシズムと憂愁を湛えた
いい感じの曲として
残った
逆に
ザ・タイガース
ザ・テンプターズ
オックス
などの曲のほうが
あまり
口ずさまれなくなった
時代の移り行きというのは
これだから
怖い
グループ・サウンズ全盛期に
小1だけで集まって作ったバンドは
みんなで勢い込んで
『シスターズ』
と名づけ
音楽の授業で使う
ハーモニカやカスタネットや笛はもちろん
ウクレレや
ドラムスにする大きな空き缶など
各自の家で見つけられるかぎりの楽器っぽいものを持ち寄って
空き地や公園で
熱心に練習を続けていた
しかし
ある時
だれかのお母さんに
「シスターズって、『姉妹たち』っていう意味じゃない?
男の子たちだけなのに
それでいいの?」
と言われて
急に空気が抜けたように
やる気が
萎んでしまった
今なら
LGBTだとか言って跳ね返せただろうが
まだ男の子たちは
なにかというと
「男のくせに‥」とか
「女の腐ったの‥」とか言われて
バカにされるのが当たり前の時代だったので
「シスターズ=姉妹たち」説
には
めげてしまったのだ
ザ・ワイルドワンズの加瀬邦彦は
1994年に食道癌の手術をしていたが
(きっとうまい酒を飲み過ぎたのだろう)
2014年には下咽頭癌を発症し
手術後は自宅療養していた
同年
メンバーの渡辺茂樹が死去
加瀬邦彦は
2015年4月20日
呼吸用のチューブを塞いで
自宅で自殺を図り
74歳没
これを聞いた時
幼稚舎からの慶應ボーイの
さっぱりした
潔い
幸福な最期
と思えた
「波にむかって叫んでみても
もう帰らない
あの夏の日」……
と歌い続けてきた人に
ふさわしい
去り際
と思えた
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