エルガーの『エニグマ変奏曲』
正式名称は
『管弦楽のための独創主題による変奏曲』
その中の第9変奏 "Nimrod" (ニムロッド)は
単独で演奏されることも多い
最近では
アンナ・ラキティナ指揮+ボストン交響楽団が
かなりいいように思ったナ
2021年のタングルウッド・フェスティバルの際のもの
33歳のラキティナは
ウクライナ人の父とロシア人の母を持つモスクワ生まれで
現代の国際情勢を一身に負ったような女性
といえば
言える
ま
ぼくはそんな
歯の浮くような
商業ジャーナリズムっぽいことは
言わないけどネ
https://youtu.be/LAhH4Fkahgo?
"Nimrod" (ニムロッド)の演奏では
24歳のチェロ奏者
シェク・カネー=メイソンの演奏が
また
素晴らしい
BBCヤング・ミュージシャンのコンクール(BBC Young Musician)で
ショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第1番」を演奏して優勝し
王立アカデミーに学んだ
2018年には
ヘンリー王子とメーガン・マークルのロイヤルウエディングの際の
音楽セレモニーで演奏
そんなことも
どうでも
いいけどネ
https://youtu.be/O70uVmW4y9Q?
さて
エルガーの『エニグマ』のこの曲ともなると
クラシック好きでも
なかなかここまでは辿り着かず
繊細かつ微妙なこの魅力に陶酔できる人は
少ない
ギリシア語で「謎かけ」を意味する題名の
「エニグマ」の通り
エルガーがこの変奏曲集に込めた仕掛けは複雑で
なかなか読み解けない
推理小説のような作品だが
音楽として単にくり返し聴いてみるだけで
十分に聴き手の耳が
研ぎ澄まされていく
そういう意味で
教育的な音楽でもある
真向かって
聴いているだけで
音楽力が付いていくのだから
ありがたい
旋律のベースとしては
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』の
第2楽章の旋律が下敷きになっている
エルガーの友人だった
楽譜出版社ノヴェロ勤務のドイツ人
アウグスト・イェーガー
(August Jaeger, 英語式にはオーガスタス・イェイガー)
と
エルガーが
好んだ旋律をベートーヴェンから借りたもの
ドイツ語の “イェーガー” (Jäger)が「狩人」や「狙撃手」に通じるので
エルガーは
彼に
旧約聖書に出てくる狩人の「ニムロッド」というあだ名をつけ
そこからこの曲の題名が出てくることになる
こういう「謎かけ」が方々に張り巡らされているのが
『エニグマ』という変奏曲
ベートーヴェンについて論じあいながら
エルガーとイェーガーふたりで夜の散策をした時の雰囲気も
描き込もうとした
という
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