2016年2月28日日曜日

見るに心の澄むものは


しかし世の中は小癪になりましたネエ
幸田露伴『望樹記』



本当のことを言おうか
たまには
冗談めかしたもの言いでなく

老いも若きも
日々
古典を読み続けていない者は愚かであり
ともに語るには値しないし
時を共にするにも値しない

古典を読み続ける者なら
愚にもつかない人生論を偉そうに言いもしないし
価値というもののそもそもの不可能性や不条理さもわかり切ってい
仰々しい見栄っ張りもしない
かといって
窶し過ぎもしない

侘びたるは良し、侘ばしたるは悪し
とは
千利休

見るに心の澄むものは
社毀れて禰宜もなく 祝(はふり)なき
野中の堂のまた破れたる
子産まぬ式部の老いの果て
とは
『梁塵秘抄』

もちろん
衰えてばかり行け
というのでは
ない
起こるべきことに
こそ
道を開け
ということで…

大貴族の裔にして
ついに子を持たなかった
持ち得なかった
歌人
富小路禎子の歌うように

花毎に黒蝶何か告げてをり薔薇園に小さき乱おこるべし




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