2018年7月22日日曜日

ほんのちょっとの知識のある無しで


 
「じぶんの国やその周辺を超える
もっと大きな地球規模の世界観を
人類史上はじめて持ったのは
やはり十五世紀のヨーロッパでしたし
その先駆者は
航海王子エンリケなど
ポルトガルの航海者たちでした…」

そんなことを語っている
歴史の先生
とやら
がいたので
なんだか
参ってしまった
辟易してしまった

中国明朝の鄭和は
コロンブスがアメリカ発見をする八十七年ほど前や
バルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達する九十一ほど年前に
ヴァスコ・ダ・ガマがインド洋横断をする八十一年ほど前に
皇帝の命令を受けて
南シナ海からインド洋を越え
アフリカ大陸東岸やアラビア半島まで
七回も航海をしている
三万人規模の大艦隊を
高度な大型船の造船技術や
遠距離航海術
資金力や組織力で組織しての航海で
百人程度の人数の航海だったコロンブスなどとは
レベルが違っていた

そもそも
東南アジアからインドを経てペルシア湾やアフリカ大陸東岸を結ぶ
大規模なインド洋交易は
古代ローマ帝国時代から確認されていた
ヴァスコ・ダ・ガマの頃には
ムスリムの商人たちや船乗りが
この海域で活躍する時代になっていた

十八世紀半ばまでは
ヨーロッパはアジアにはるかに遅れをとっていた
世界の経済の基軸となる銀は
ほとんど中国に流入していたのでも
それははっきりとわかる

…こんなことを
わざわざメモしたくなるのも
ほんのちょっとの知識のある無しで
世界の見え方も歴史の見え方も
人類の能力のあり方についての想定も
激変してしまうから

こういう点が
ほんとうに恐ろしいし
ほんとうにすばらしい



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