一語一瞬!
一語一瞬!
気を抜くとすぐに落ちてしまう!
この世の何をどうすればいいかを鵜の目鷹の目で盗み
薄っぺらにそのコツを知ったら得々とそれを語りたがる心境へと
渋谷と銀座を直結させるBS線(bittersilver線) ホームの端で
ペネロープを乗せて遠ざかって行く終電を見送っていたら
銀色の線路がだんだん青くなりコバルトブルーになり
水ともいえない水がまわりに満ちてきていた
いっしょに乗っていってしまえばよかったのに
と心が締められて痛んでくるほど悔やまれたが
真に乗るべき電車とそれほどでもない電車を区別するのは
どんな時もまことに難しく
どうにもならない時も間々ある
昔の人はこの区別を少しでも見逃さないようにお守りを
心の肉の片の数枚下あたりに潜めておいたものらしいが
今の時代にはそんな手間を掛けることが無粋になってしまい
おかげでたくさんの人がこの世で迷い続けている
改札に出るまでホームを歩いていたら
ひどく酔った女が倒れていて
ちょっと危ないかなと思ったが
すぐに身を起してまわりをきょろきょろ見まわし
じぶんの居場所がまるでわからないかのように
今どき人の顔の表面にめったに見られないような驚愕と戸惑いを浮 かべ
片手に持っていたペットボトルを
まるではじめてのものを見つめるように眺め
また身を横たえてしまった
不用意に立ち上がりでもして線路に落ちたら危ない
と思ったが女に関わることなしにわたしは通り過ぎていく
改札を通過する際にサァと銀河の注がれるような音がし
星々の香りが香しく立って
駅の前の大通りの向こう側から巨大なブルーの熊がやってくる
真に乗るべき電車とそれほどでもない電車を区別するのは
どんな時もまことに難しく
どうにもならない時も間々ある
しかし
しかし
見よ!
星々の香りが香しく立って
駅の前の大通りの向こう側から
巨大なブルーの熊がやってくるところだ
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