2018年7月17日火曜日

人物を想像してみる

 

経てきたあらゆる夏の日々の
ひとつひとつを
はっきりと詳細に検索可能なかたちで覚えている
そんな
人物を想像してみる

たとえば七月三十三日
八年前には午前十時から菊丘のロクサーヌホテルで
知人子弟の結婚式へ
十七年前の午後は千代田美津峰記念空港でジャン・ロッコの出迎え
六十八年前の夜七時半には十和田美津子宅で小ダンスパーティー
五年前の早朝にはアトランティスさながらの北アメリカ大陸全土沈
百三十四年前の午後三時半には長女はつなの誕生
等々
思い出の幾らでも呼び起こせる人物を想像してみる

百三十四年前の記憶どころか
彼には六千八百一年前の記憶さえ鮮明に思い出せるのだとしよう

本当に
下らないことだ
限界付けられ過ぎた想像力行使しかしない
よく周囲に散見されるような退屈極まりない人間たちの慣行に
言語表現や発想の点でも従ってしまうなどというのは

フィクションはつねに
根源的にSFでなければならないし
言語表現はフィクション以外のなにものでもあってはならない




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