2022年12月24日土曜日

クリスマスイヴ

 

 

 

すてきなことはみんないつか終わるもの

村上春樹 『スプートニクの恋人』

 

 

 

 

24

って

なんだったかな

 

なにか

あったような

 

そう

思いながら

手帖の

1224

という印刷を見続けるうち

 

思い出した!

 

クリスマスイヴ

では

ないか!

 

なんと

遠く

遠く

世俗の慣習から

離れてしまっている

ぼくの

アタマよ

こころよ

 

おいしいケーキを食べようと

楽しみにした頃も

あったではないか!

 

好きな子と

レストランで特別な料理を囲み

グラスを交わしたことも

あったではないか!

 

異国の田舎の家で

たくさんの人が集まって

食べきれないほどの

ご馳走に継ぐご馳走に舌鼓して

破裂しそうな腹を抱えて

朝を迎えたこともあったではないか!

 

ふたりだけの

渋谷での

宴のあとで

まだ開いている

ジュエリーショップで

若いガールフレンドに

けっこう値の張る指輪を選ばせて

買ってやったことも

あったではないか!

 

どれもこれも

遠くへ

はるかに

きれいさっぱりと消え去っていき

どんな経験も

したことのなかったような

1224日が

また

来ている

 

楽しみにし

わけもなくうきうきし

その名のまわりで

こころの舞うに任せた

クリスマスイヴ

という言葉が

ぼくにはすっかり忘れられ切って

ぼくの知らない

ほかの人びとのあたまやこころのなかで

いまでは

舞い続けているのだろう

 

ぼくの個人史などと

関係なしに

ぼくの

理由のないわけではない

冷淡さや

不義理になど

関わらずに

うきうきし

こころを楽しませる人たちのところで

愛され

舞い続けてあれ

クリスマスイヴ

という

言葉よ

 

昔むかしの

楽しかったさまざまなことの

アルバムのような

言葉

クリスマスイヴ





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