嫌いでもないが
寺尾聰は
そう好きでもない
似合わない
サングラスをかけた顔が
かっこ悪かったし
髪の毛も
関の弥太ッぺみたいで
ビミョーだった
声も
歌いかたも
そう好きでもない
けれど
「ルビーの指輪」で
冒頭から
叩きつけてくる
くもり硝子のむこうは
風の街
というのは
決定打だと感じる
くもり硝子のむこうに
風の街
なんて呼びたい街があったら
ちょっと
いいな
と思ってしまう
けれど
もっといいのは
あれは八月
まばゆい陽のなかで
誓った
愛の
まぼろし
というところ
このイメージの後だと
「孤独が好きなおれさ」
なんていう
通俗の極みの
陳腐な
ことばも
ぴったり嵌まってくる
で
だれが書いた歌詞かな?
と思うと
やはり
松本隆なのだ
背中をまるめながら
指のリング
抜きとったね
おれに返すつもりならば
捨ててくれ
というような
ことは
わたしにもあった
「捨ててくれ」
とは
言わず
きみの娘が
ちょっと大きくなったら
はじめての
リングの練習として
あげたらいい
というようなことを
言った
そのように
した
らしい
他の男とのあいだに生まれた
娘の指に
リングは嵌められた
はずだ
娘も
夫も知らない
リングの物語を
彼女と
わたしは
知っている
https://www.youtube.com/watch?
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