日本の空気のなかに
堪えがたくなりそうなつまらなさと
どうしようもないほどの衰微が
日によって濃淡はあるものの
しばらく前から顕著に漂っていて
もはや無視できないほどになっているのだが
ひとびとは感じないのだろうか?
すでに血のめぐりが鈍って
終わっていこうとしている瘡蓋で
日本が覆い尽くされている
この瘡蓋がすっかり除かれるまでは
芽生える新しいものも一切なく
新鮮な空気も新たな肌に届かない
瘡蓋は重過ぎひとりでに消え去りはしないので
意志を以て除かねばならないのだが
この数十年で日本から消えた最大のものは
なにより意志だったのだから
瘡蓋は出てくる新芽をすべて圧死させても
なおも居座り続けるだろう
瘡蓋とていつかは分解されていくが
それまでにはまだ十年以上はかかるだろう
この数十年で大人になった者たちが
思いつきもできなければ
受け入れもできない手段でしか
瘡蓋を取り除くことはできないが
場合によっては大災害や侵略が
そのかわりを担ってくれるかもしれない
しかし復興など考えもできないほどの
巨大な大災害でなければならない
0 件のコメント:
コメントを投稿