温度がさがって
増していく廊下のかたさ
だれもいないところなどないと
知ってるはずの年齢でしょ?
ほそい冷凍花のくずれていく音が
だから
届いてもいる
うすいガラスは
かならず
だれかの心を受信しているという
食器棚に並んでいるのは
ほんとうは位牌なのだとも
生きている
死んでいく
あらたな響きの
はじまることのない沼があって
そのほとりに
ひとびとは
最後
とどまるのらしい
つくり始めるのも
仮住まい
もう
館でなくてもいいと
諦めていたりする
らしい
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