2012年9月10日月曜日

盛時をすぎて



ひかりの魚群の夢を
きれいな小封筒にさしいれて
過ぎた日のカフェの昼さがり
ボーイは純白のシャツを着て
がんぜない夢の光景の
成就のように立っていた
盛時をすぎて
去っていく流星のわたくし、か
静寂のほのおとして
その光景からも外れていた

はじめての魚の子

星のはなしに入ろうか
しずかなテーブルにつどい
中央にはとおい銀河
音のない風がながれて
雲のむこう
かいま見たのは きっと
澄んだ流水に目をひらく
はじめての魚の子

透明なものの友として
わたくしたちはいつまで
空気の濃淡を容易に読むだろう
ことさらに具象に走るのはやめて
見えないものをよく見ようとひらく
いくつもの見えない目

星のはなしは尽きず
さらさらと
まだ日も高いのに流れる
こまかい無数のひかりがある


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