ヴェネチアからフランクフルトへ
木材の
古びに古びたゴンドラで
地上30メートルほどのところを飛び
しかし
途中のトレントやボルツァーノで
土地のチーズや
パンや
コーヒーなどをすこし買って
強風のところどころ吹きすさぶアルプス山脈を
ずいぶん無用心に越え
どうしてだろう?
インスブルックでは降りずに
地上のオーストリア人たちから
しずかに手を振られ
風に流されるように進んで行くうちに
みどりなす
ドイツの平原に入った
好天にずっと見舞われたのは
さいわい
上空にずっとひかりの輪となって
見守り続けてくれた太陽が
なぜ古代から神として崇められてきたのか
こころに沁みるように
わかった
シュトゥットガルトのアメリカ欧州軍司令部には寄らずに
じかにフランクフルト・アム・マインの
欧州中央銀行本部に向かうが
心ははやくも
用事のあとで会うクリエムヒルトと
どこで
軽いスイーツを食べようか?と
うれしく惑う
クワークベレヒャンもいいが
まずは
フランクフルタークランツを食べてから
パンのうまいドイツだから
ツアイト・フュー・ブロートでなにか買って
街中を散歩しながら
口に運ぶのもいいかもしれない
やはり
旧市街アルトシュタットに
長く滞在することになろうか
すこしは郊外へも
美しい路面電車に乗って
足をのばしてみたい
フランクフルト・アム・マインは
なんといっても
ゲーテ生誕の地だから
カイザードームや
レーマーベルク
パウルス教会といった
定番の観光拠点だけでなく
ゲーテの生家も
もちろん再訪してみよう
以前訪ねた時には
思いもしなかったが
14歳ごろにはすでに
フランス語も英語もイタリア語も
もちろんラテン語も
ギリシア語も
ヘブライ語までも習得していたゲーテの
初恋相手は
彼の住まいの近くの料理屋の娘の親戚で
のちに大作『ファウスト』のヒロインの名に使う
グレートヒェンだったから
彼女へのゲーテ少年の思いも
想いながら
今度はまわってみることにしよう
柿本人麻呂を思いながら
憑かれたようにして
明日香の夕暮れから夜にかけてを
何度か歩きまわった時の
ように
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