立春が来る前から
クローバーがうつくしい
寒すぎる夜も
まだ
あるというのに
ちょうど
いいようだ
そのくらいが
濃いみどりの葉が
生き生きと
空に向かっている
ことに暑かった
昨年の夏
うちの鉢植えのクローバーは
傷んでしまって
絶えてしまうのではないか
と心配になった
水を枯らしたわけでもないのに
葉がしわしわになって
縮んでしまった
冬も深まってから
逆に
元気になって
葉が青々としてきた
クローバーには
どうやら
ひんやりした空気が合うらしい
4歳から9歳まで
愛知県の田舎で暮らしたが
学校の校庭の端にも
森林公園にも
空地のあちこちにも
クローバーの群生があった
春先には
そのみどりのマットに寝転ぶのが
子どもたちの楽しみの
ひとつだった
雑草だというのに
こんなにみどりゆたかで
こんなに清浄で
ラテン語で「三」+「葉」を意味する
Trifoliumという名
そのままに
おとぎ話に出て来るような三つ葉で
ふしぎな賜物のような
草だった
おまけのように
ときどき
四つ葉が見つかるのが
また
楽しかった
立春が過ぎて
もうちょっとで
雨水が来るが
クローバーがうつくしい
いちばん子どもらしかったころの
清浄な濃いみどりそのままに
クローバーがうつくしい
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