2016年7月9日土曜日

荒涼たるところ 広漠たるところ



たびたび見る夢ともなれば
もう
夢とも思えない

荒涼たるところ
広漠たるところ
あまりに広すぎて
無辺で
いつも強い風が
ときどき
さらに強まったり
猛風になったり

涯てまで澄むことなどなく
霞続け
曇り続け
どのくらいの広さの
どのあたりに今いるのか
そんなことは
わかったためしもない

当てもなしに
ふらふら動くだけで
足元が石の時もあれば
岩の時もあり
土の時もある
草の時はほとんどない
まったくなかったかもしれない
草のほとんどない
広大すぎるところ

いつも
そんなところにいて
生きものに会ったことはない
人間に会ったことはない
動きと呼ぶべき
ほんとうの動きをするもの
温かみややわらかさ
そんなものを本当に持っているもの
それらに出会ったことはない
精神やこころ?
魂?
目を瞑っていても見える
そういう類のものには
もちろん
出会う可能性さえない

目がさめて
こちらの舞台装置の中に帰って来ても
もちろん
生きものや動くもの
温かみややわらかさに出会うことは
まったくない
精神やこころ?
魂?
目を瞑っていても見える
そういう類のものには
もちろん
出会う可能性さえない

ただ
荒涼たるところ
広漠たるところ
あまりに広すぎて
無辺で
いつも強い風が
ときどき
さらに強まったり
猛風になったり
涯てまで澄むことなどなく
霞続け
曇り続け…



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