ぼくは大学生で
巨大なショッピングモールの中のような大学にいた
照明は明る過ぎず
けれども
行きかう人々の顔ははっきり見えて
清潔でどこも新しい
教室も研究室も
会議室も
どこもガラスばり
文化人類学の講義を聴かなければならないので
教室を探していたら
黒人の女性職員が丁寧に教えてくれた
みんななごやかで
丁寧で
それに楽しそうにしている
教室に着いてみると
まるでオープン設計の料理教室みたいで
いろいろな果物や野菜や
色とりどりの調理器具などが
まわりに並んでいる
きっと料理の視点からの文化人類学なのだろう
ずいぶん学生が集まっていて
バーのような背の高いイスに座って
隣どうしでおしゃべりしている
先生はまだ来ていない
いろいろな色で書かれたプレートに
Vini Liniと書かれているのが
たぶん先生の名前だろう
とにかく巨大なビル群そのものが
ショッピングモールの中に入っているようなものだから
いったことがない街区も多い
どこへ行くにも
ずいぶん迷い
さまよったりするが
時間に余裕がある時なら
それも面白くはある
ぼくは永遠学生だ
まわりを行きかうたくさんの人たちも
みな永遠学生たち
ここでぼくらは
あれを学んだり
これを復習したり
そんなことをくりかえし続け
時どき
ここから出て
異世界にフィールドワークに行ったりする
このいまも
ちょうど
異世界のひとつにこうして出て
その世界の文字を使って記してみたりしているが
こんなふうにして
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