猫のあたまだけのぬいぐるみ
ドアノブにかけていたのを
すっかり忘れていた
いつも見ているはずのドアノブなのに
そこから
80センチほどのところに
ブルトンの『ナジャ』と
バフチンの『小説の言葉』と
エリュアールとマン・レイ共作の『自由な手』が
重ねておいてある
その上には
ジーン・セパーグの夫だった
ロマン・ガリの『わが人生の意味』も
このインタヴューの数ヶ月後
ガリは66歳で
ホテルでピストル自殺を遂げた
不幸な死ではなかった
「大いに楽しんだ。ありがとう。さようなら」
と書き遺して
さっぱりと死んだ
さっぱりとは死なないのも
かっこいいと
ぼくは
思うんだがね
寝たきりになってから
ようやく
その人らしさが出てきた
なんていうのも
大いにありだと思う
だって
巨大な宇宙に生きてるんだぜ
ぼくらは
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