2018年3月1日木曜日

タのタ


というものにとらわれていた時期があって
そこから脱するのに
タビ
ビタ
とひっくり返してみた

またタビに出たいなァ
という思いが浮かんだりすると
またビタに出たいなァ
すぐ
言い替えるのだ

そうすると
「また」や「に出たいなァ」も
ひっくり返さなきゃいけないように感じて
たまビタ
と考えてみたり
ァないた出に
としてみたりして
アタマは忙しくなる

この忙しさは
旅に出た際の忙しさとは違って
ちょっと
かなり
ちょなり
新鮮な忙しさだった

ァないた出にビタたま
ァないた出にビタたま
ァないた出にビタたま

などと
十回もくり返して唱えていると
けっこう
極楽浄土である

メタの旅
とでもいうやつに
移行したナ

思った
もちろん
慢心していてはいけない

すぐに
ビタのタメ
とひっくり返して
慢心を
解いたわたくしであった

ビタのタメ
いうのも
最後の「タメ」が
なんだか
おこがましいというか
クサイというか
おしつけがましい感じなので
略して
タのタ
言い直してみたら
これは
ピンと来た

だから
以来
うちの家紋には
タのタ
と描き込んである

店の看板にも
商標にも
タのタ
と書き込んである

子々孫々
ゆめゆめ
おろそかに
するでないぞョ



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