2018年3月10日土曜日

買い直すのには苦労しないだろうわサ

  
渋谷の道玄坂から
昔から怪しげだった小道を折れて
丸山町のほうへなど行ってしまわずに文化村通りへ抜けて
おや
目の前にメガドンキなんかできちゃって!
とちょっと驚きながら
東急本店1Fのハイブランドの並びを冷やかしながら
Bunkamuraまで辿りついて
地下に下りて
ザ・ミュージアムの
《ルドルフ2世の脅威の世界展》を見てみると
たいして面白いものが来てるわけでもないなァとは思うものの
世界進出という点では極めて消極的なルドルフ2世の
皇帝らしからぬ内向性の豊かなる成果はおもしろく
もうちょっと
ハプスブルク家や神聖ローマ帝国などに
興味を持ち直してみるか
と思わされる
愉しみはあったのであった

今どきの展覧会のショップは
ディズニーランドも凌駕するほどの商魂逞しいグッズで
溢れ返っているので
つねになにも買わずに帰るわけだが
今回は
ルドルフ2世とはほぼ関係もない小さな本を一冊
買ってしまった

松岡正剛の『稲垣足穂さん』という文庫本で
これはじつに奇異なる出来事にして
驚異的な事件であり
怪異なる珍事ともいえる
というのは
わたしは松岡正剛も好きでなければ
稲垣足穂も大嫌いだからで
松岡正剛の本はずいぶん買ってあったがひとつも読み切れたことがなく
稲垣足穂に到っては
いくら三島由紀夫が褒めちぎっても
どうにもならない曖昧な観念の遊びとしか感じられず
昨年の引っ越しの際に
ちょっと豪華な装丁本も文庫も
ぜんぶ売り払ってしまったほどなのである

それを
松岡正剛と稲垣足穂の両名が
ぴっちり
ぴっきり
くっ付いちゃった『稲垣足穂さん』なる
おふざけなタイトルの本を
よりにもよってルドルフ2世さんの展覧会さんのショップさんで
買っちゃうんだから
もう
どうかしちゃったにもほどがあるでござるよ
天変地異の
はっきりした前触れだと思うね

ところが
これが面白いんだよ
おもしれぇよ
おもしれぇぜ

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するこたないんだけどさ
無関係なんだから

でも
松岡正剛を通したら稲垣足穂はおもしろくなるんだナ
稲垣足穂に触れると松岡正剛はおもしろくなるんだナ
発見したよ

数か月後には
御両人の本を買い直さなきゃなんなくなるかもナ

うち
神保町から10分だから
買い直すのには苦労しないだろうわサ



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