わたしのことはいいのです
いないと思ってくれていていいのです
生まれたことさえないようなものだとか
蔭や空気みたいなやつだとか
それでいいのです
ちょっとでもひと目に止まったり
ふとした時に声を聞かれたり
足あとのようなものを見つけられたり
差し出がましい話をしたかのように思われたり
ちょっとでも体温を移してしまったり
そんなふうに受けとめられたりしたら心外です
ことば並べの好きなつかの間の過客
その程度にかるく思われて
忘れられさえせずに
はじめからなんの印象もなく
移ろっていくばかりのいっときの
ひかりと闇の彩のようですっかり満足なのです
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