2023年5月11日木曜日

ちがう芸風にもっと惹かれちゃった結果

  


なんとなく

水道橋の丸善に

入って

文庫の棚なんかを見ていたら

 

安岡章太郎の短編集が

岩波文庫に入ったんだな

わかり

日本の小説っていったら

安岡章太郎

第一に数えるべきひとりだろ

と思っているので

ちょっと

うれしかった

 

とはいえ

安岡章太郎の短編は

ほぼ

アタマに入っているので買わず

ほかのを見るうち

泉鏡花の

読んでなかった短編集『化鳥・三尺角』だの

『鏡花随筆集』の

とんでもない

ぶっとんだ文章が面白くて

買っていくかな?

と片手に束ね

ついでにめくってみた

大江健三郎の

岩波文庫版短編集がけっこう便利そうなのと

ひさしぶりに見返すと

やっぱり面白いところがありそうなので

分厚いけれど

買っていくかな、やっぱり

これも携え

さらについでに見てみた

大江健三郎の長編小説『M/Tと森のフシギの物語』も

岩波文庫版で買っていくかな?

これまた携え

 

合計4冊の文庫本を携えて

他になにか

面白そうなの

あるかな?

見てまわっているうちに

ジェフリー・アーチャーの『ロスノフスキ家の娘』の訳本に出会い

ぱらぱら見てみたら

大江健三郎だの泉鏡花だのは

たちどころに吹っ飛んでしまうような

世界基準の堂々たる“売れる”小説っぷりに

やっぱりねえ

やっぱりねえ

と思わされ

英語版がもしあったら

これ

買っていこうかな

と思って

大江健三郎と泉鏡花を岩波文庫の棚に戻した

 

戻してみたら

なんというのか

手に携えていたあいだに

大江健三郎と泉鏡花のエキスを“吸い取ってしまっていた感”があって

なぁんだ

べつに買わなくてもよかったんだな

と気づき

二階の洋書の棚へ向かっていって

探してみると

ジェフリー・アーチャーの本は並んでいても

『ロスノフスキ家の娘』(原題はThe Prodigal Daughter)は

見当たらなかったので

じゃあ

しょうがないなあ

と思いながら

あたりに視線をまわすと

ミヒャエル・エンデの「The NeverEnding Story

(原題はDie unendliche Geschichte: Von A bis Z

があって

そういえば、これ

ちゃんと読み終えていなかったなあ

アーチャーの「The Prodigal Daughter」がないかわりに

これ

買っていこうかな

と思ったが

待てよ

待てよ

待てよ

英語でなら

Robert Louis Stevensonの「Treasure Island」や

Steve Jobsの伝記を買ったばかりだったし

George Gisssingの「The Private Papers of Henry Ryecroft」も

ひさしぶりにこころ惹かれて

本棚から出してきたところだし

だいたい

師と仰ぐひとりのSomerset Maughamの全短編を

そろそろ読み直そうと思っていたところだし

など

など

など

と考え直して

英訳の「The NeverEnding Story」は

結局

棚に戻すことに相成り候

 

かくして

水道橋の丸善に

入って

あれやこれの本を

買う

もうちょっとのところで買う

ぎりぎりの

ところまで行きながら

ついに

一冊も買わずに

出て行く

ことに

なったわけ

 

出口近くに

村上春樹の新刊が平積みされていたけれど

触れもしなかった

(べつに格別の反感のようなものがあるわけではない)

ハルキを買うくらいなら

ジェフリー・アーチャーの訳本を

先に

買うよなあ

やっぱり

やっぱり

というのが

その時の

気分

だったので

 

あるいは

英訳の「The NeverEnding Story

買っていくよなあ

やっぱり

やっぱり

というのが

その時の

気分

だったので

 

趣味のちがい

って

こと

なのかな?

 

ちがう芸風にもっと惹かれちゃった結果

って

こと

なのかな?

 

 




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