――仲間内でもあることですし
話題の冷めないうち
はやいとこ戯曲を仕上げて
パアッと当てたいところですな。
――で
どんな題名を考えてんだい?
――はぁ、
『澤瀉屋目黒怪談』とか
『夏祭狂猿心中』あたり
どうでしょうか?
――ふうむ、
ちょうど神田祭と三社祭の間で
引き起こした心中沙汰だしな。
特に三社祭ったら
前夜祭みたいな時期に起こしたから
そこをうまく使うのも
いいかもな?
――そうですなあ、
『三社祭前夜猿狂』とか
『夏祭華猿飛』とか。
「華」とか入れて
心中沙汰をパアッと
華やかに終幕にしたいですな。
南北先生の劇みたいに。
――うちの老母なんぞ
あの地味なところがいいと
段四郎ファンだったもんだから
シンプルに
『段四郎殺し』なんてのが
いいって言ってる。
――それは
さすがにシンプル過ぎますから
『段四郎初夏殺し』なんて
どうですかねえ?
――でも、やっぱり
焦点に猿之助を持ってきたいね。
『猿段四悶絶夏』なんてどう?
――はあ、
「サルダンシモンゼツノナツ」ですか?
「悶絶」ってのが
いいようで、よくわからない…
――ま、題名は
最後の最後に決めればいいので
急いで台本を作っちまっとくれ。
あいつ、酔いにまかせて方々で
セクハラどころか猥褻行為をし続けて
そこにパワハラが入ってたんだから
あっちこっちで恨まれてて
ヤクザなんかはだいぶ前から
ユスリタカリの絶好の機会として
目をつけてたんだからね。
けっこうダーティーな劇にしちゃっても
いいくらいなところだが
現代の風潮は松本清張でも
木下恵介でも内田叶夢でもないし
なんでもオチャラカス空気だから
うまぁく軽みも入れないとね。
――それに、なんであれ
ちょっと楽しい感じに
ちょっと華やかに味つけですな。
『華咲夏祭来狂猿』と並べて
「ハナトサクナツマツリキテクルイザル」
なんて感じかな?
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