2024年9月29日日曜日

なんの空想力もない人のように

 

 

 

真の幸福は高くつくものではない。

もし値が張るのなら、それはよい種類の幸福ではない。

シャトーブリアン 『墓の彼方からの回想』第1巻・第7章

 

 


 

なんの空想力もない人のように

じぶんの人生に起こったこと

見たこと

聞いたことなどを

くどくない程度にうまく掬いとって

ひとを飽きさせない程度に

ちょうどいいぐあいに間をおいた

花火の閃光の連続のように

凝縮力だけは失わないようにして

書きとめていくのだって

きっと面白いだろう

と思うようになってきた

厖大な経験も

すべて

過ぎ去ってしまえば

異様に詳細な空想と同じこと

過ぎ去って

すっかり消え失せた時代や空間は

ちょっとやそっとでは

空想し尽くせないような

異次元のフィクション世界なのだから






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