2025年3月12日水曜日

時代は移っていくにせよ

 

 

 

 

  It’s still the same old story
  A fight for love and glory
  A case of do or die

これを思い出すだけで

むかしばかりか

現代のことを歌うにも

もう十分

 

  It’s still the same old story
  A fight for Trump and Zelenskyy
  A case of do or die

などと

替え歌したくなったり

 

Herman Hupfeldのつくった

As Time Goes By

まあ

なんたる普遍性か

 

この歌を思い出すひとは

映画『カサブランカ』の名場面で

イングリッド・バーグマンに頼まれたサムが

歌うところだけを思い出すから

出だしのところは

あまり知らなかったりする

 

ところが

Herman Hupfeldが書いた出だしを見ると

これがまあ

現代にもそのまま

当てはまってしまうという

驚き

 

This day and age we’re living in

Gives cause for apprehension

With speed and new invention

And things like third dimension.

Yet we get a trifle weary

With Mr. Einstein’s theory.

So we must get down to earth at times

Relax relieve the tension

And no matter what the progress

Or what may yet be proved

The simple facts of life are such

They cannot be removed

 

 ぼくらが生きている今日やこの時代
 つきまとうのは不安のたねばかり
 やれスピード化だの新発明だの
 三次元のあれこれだの
 だけどちょっぴりうんざりもしてる

 アインシュタイン氏の理論とやらにもね

 だから時々は地面に降り立って

 リラックスして緊張を和らげないとね

 なにが進歩しようが

 なにがさらに証明されようが

 人生における現実の基本的なところは同じ

 取り払ったりはできない

 

この部分を受けてから

「これは覚えておかないといけないよ」

という歌詞が来るわけだ

 

You must remember this

A kiss is still a kiss

A sigh is just a sigh

The fundamental things apply

As time goes by

   And when two lovers woo
   They still say: “I love you”
   On that you can rely
   No matter what the future brings
   As time goes by

 

 これは覚えておかないといけないよ

 キスはいつだってキス
 ため息はため息
 時代は移っていくにせよ

 ものごとの基本はそのままさ

 恋人たちが愛を求めあう時

 いつだって言うのは「アイ・ラブ・ユー」
 頼りになるのはこの言葉

 未来がなにをもたらそうともね

 時代は移っていくにせよ

 

 Moonlight and love songs – never out of date
 Hearts full of passion – jealousy and hate
 Woman needs man – and man must have his mate
 That no one can deny

 It’s still the same old story
 A fight for love and glory
 A case of do or die
 The world will always welcome lovers
 As time goes by

 

 ぜったい時代遅れにならないのは

 月あかりとラブソング
 情熱やら嫉妬やら憎しみで

 こころはいつもはち切れんばかり
 女には男が必要で

 男にだって伴侶が要る
 だれも否定できないでしょ、これ

 そうして

 いつもいつも同じおはなしだ

 愛だの栄光だののためにあらそい

 死ぬか生きるかのごたごた

 世界はいつだって恋人たちをウエルカム

 時代は移っていくにせよ

 

 

As time goes by」という決め文句は

映画『カサブランカ』以降

日本では

「時の過ぎゆくまま」

などと訳されるのが通例になっているが

英語によく通じたひとたちは

as

単純に「時」を表す接続詞と捉えるべきではないか?

と言ったりしている

「~している時」

「~しながら」

「~するにつれて」

と素直に捉えるのでいいのではないか?と

 

そこで今回は

「移っていくにせよ」

と訳してみた

「時」と訳してしまうところも

「時代」として

「時代は移っていくにせよ」

としてみた

「時代」と発語する語り手や歌い手には

人生の年輪や

老いの影が

一気に加わってくる

そういうひとが

「世界はいつだって恋人たちをウエルカム」

と言うところに味があり

哀愁が漂う

 

それはそうとして

トランプやゼレンスキーやプーチンの

この現代

Herman Hupfeldのつくった

As Time Goes By

YouTubeを通して

いろいろな歌い手たちのパフォーマンスで聴けるのは

しあわせなことだ

こればかりは

It’s still the same old story

とは言えない

 

なんといっても

いちばん楽しく驚かされるのは

1985年にドイツでサミー・デイビス・ジュニアが披露した

有名歌手たちのものまねを揃えての歌唱で

彼の芸達者ぶりがいかんなく発揮された名演となっている

 

Sammy Davis Jr - As Time Goes By (Live in Germany 1985)

https://www.youtube.com/watch?v=_2Ua2PkBdEA

 

また

なんとしても聴いておかないといけないのが

作曲された年に初録音された

ルディー・ヴァリーによる歌唱で

これがしっかり歌われていて素晴らしい

 

1st RECORDING OF: As Time Goes By - Rudy Vallee (1931)

https://www.youtube.com/watch?v=PZVx3C1qhLk

 

オーソドックスでありながら

きりっと味のある

ニッキー・パロットもいいし

 

Nicki Parrott

https://www.youtube.com/watch?v=glVRfUbL6-8

 

歌手の名はわからないが

ちょっと幼い口調も感じられるところに魅力のある女性の歌う

Zaks Entertainmentの演奏もいい

 

Zaks Entertainment

https://www.youtube.com/watch?v=NhCmv2XNaRQ

 

バーバラ・ストライサンドは

あちこちを引き延ばしつつの

さすがの名歌唱

 

Barbra Streisand

https://www.youtube.com/watch?v=d5iBQKvdrBQ

 

これらと

映画で使われた

ドーリー・ウィルソンの歌唱を比べると

それぞれに味があるとはいえ

サミー・デイビス・ジュニアがいちばんかな

と思えてくる

 

Dooley Wilson

https://www.youtube.com/watch?v=AlDuNqWKDak

 

もちろん

フランク・シナトラや

アンディー・ウィリアムスや

トニー・ベネットや

ビリー・ホリディや

ナタリー・コールなどもいいのだが

くりかえして聴きたいのは

やっぱり

サミー・デイビス・ジュニアかな

くわえて

Zaks Entertainmentかな

ルディー・ヴァリーかな

 

 




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