2025年3月13日木曜日

心は商売と消化作用のあいだでせばめられてしまう

 

 

 

ときどき

フローベールの書簡を見直しておくのは

よい

というよりも

避けがたい

 

どこまでも

むなしく

軽薄に

終焉の舞いを続けている

世の中というもの

社会というもの

世界というもの

人類というものに

やはり

とうの昔に

ついて行けなくなっている身としては

 

 

美とは不可能でなくして何だろう

詩とは残酷以外のいったい何だというのか

そして

人間の心とは何なのだ

どこにその心を見出せばいいのだ

いつだって心は

大部分の連中にあっては

人間の一生をしばしば満たしてしまう広大な思惑のあいだで

分割されてしまう

富をなすことと

自分のために生きることとに

つまり

心は

商売と消化作用のあいだでせばめられてしまう

(シュバリエ宛、1837

 

 

だれひとり

いまでは芸術それ自体を問題にしていない

ブルジョワのなかに

私たちはどうしようもなく埋没してしまっているのだ

20世紀なんて見たいとは思わない

30世紀にはまったく事情は違ってしまっているだろうし…

(シャントピー宛、1865

 

 

社会的ユートピアの根底をなすものは

圧制、反自然、魂の死……

(ジュネット夫人宛、1864

 

 

 





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