島崎藤村の詩集など
ひさしぶりに
開いてみたりすると
気持ちよく韻律は流れ
目も気分もなめらかに行から行と進み
ああ、まさに
近代以降の詩は
ここにある
と感じさせられる
詩というより
歌のこころよさと
いうべきか
しかし
一部分にしか
こころに跡をつけてくる印象はなく
なかには
ひとつの詩まるごと
ただ
するすると流れるばかりで
ほんとうに
なにも読まなかったのとかわらないような
どこかの泉の数滴を口にしただけの
あわい印象のものもある
これでいいのだとか
これこそいいのだとか
これだからだめなのだとか
水面のさざなみを
こころにすこし立てながら
書架にもどす
今後また長らく
手に取ることもないだろう
初夏
に
いま
しばらくの
島崎藤村詩集
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