2025年9月16日火曜日

納豆を300回掻き混ぜる

 

 

 

 

納豆を搔き混ぜるための小鉢を買ってみた

ついでに

竹製の掻きまわし棒も

 

濃紺の

なかなか味のある小鉢である

 

買ってはみたものの

一度

納豆を入れて

100回ほど掻き混ぜてみただけで

それっきりになっていた

 

二度目に

300回掻き混ぜてみた

ほんとうに

数回掻き混ぜた納豆とはまったく違う

まろやかな

高雅な食べ物となり

なるほど

たくさん掻き混ぜると

こんなにうまくなるわけか

と気づかされた

 

300回も掻き混ぜると

納豆は

なんだか縮んでしまったようになり

量が減ったように見える

 

それでいて

味はおだやかに

まろやかに

繊細になるのだから

結局

高級品になったということか

と思えた

タレや醤油を加えると

味が変わってしまうので

もったいなくなる

そんな味だ

 

300回も掻き混ぜると

そこそこ

指も腕も疲れる

そこまでやらなくても

200回ぐらいで

雰囲気は変わり出すから

ちょっと上質の納豆を食べるには

その程度でも

いいのかもしれない

 

むかし

家で納豆を食べる時には

なにかの器に入れて

そうして掻き混ぜてから

刻んだ葱を載せ

さらに掻き混ぜて食べたものだ

 

いつからか

白いヤワな発泡スチロール容器のまま

ちょこちょこと掻き混ぜるだけで

食べてしまう人が増えた

むかしなら怒られた食べ方だが

多勢に無勢というのか

そんな怠けた食べ方をする人が増えると

それが主流になってしまった

 

なんでも

むかしのほうがよかった

などとは思わないが

プラスチックや

発泡スチロールを

そのまま食卓に載せてくるのは

根本的に間違っている

と思い直すような

そんな遡行や

立ち返りならば

あっても

いいかもしれない

 

 







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