納豆を搔き混ぜるための小鉢を買ってみた
ついでに
竹製の掻きまわし棒も
濃紺の
なかなか味のある小鉢である
買ってはみたものの
一度
納豆を入れて
100回ほど掻き混ぜてみただけで
それっきりになっていた
二度目に
300回掻き混ぜてみた
ほんとうに
数回掻き混ぜた納豆とはまったく違う
まろやかな
高雅な食べ物となり
なるほど
たくさん掻き混ぜると
こんなにうまくなるわけか
と気づかされた
300回も掻き混ぜると
納豆は
なんだか縮んでしまったようになり
量が減ったように見える
それでいて
味はおだやかに
まろやかに
繊細になるのだから
結局
高級品になったということか
と思えた
タレや醤油を加えると
味が変わってしまうので
もったいなくなる
そんな味だ
300回も掻き混ぜると
そこそこ
指も腕も疲れる
そこまでやらなくても
200回ぐらいで
雰囲気は変わり出すから
ちょっと上質の納豆を食べるには
その程度でも
いいのかもしれない
むかし
家で納豆を食べる時には
なにかの器に入れて
そうして掻き混ぜてから
刻んだ葱を載せ
さらに掻き混ぜて食べたものだ
いつからか
白いヤワな発泡スチロール容器のまま
ちょこちょこと掻き混ぜるだけで
食べてしまう人が増えた
むかしなら怒られた食べ方だが
多勢に無勢というのか
そんな怠けた食べ方をする人が増えると
それが主流になってしまった
なんでも
むかしのほうがよかった
などとは思わないが
プラスチックや
発泡スチロールを
そのまま食卓に載せてくるのは
根本的に間違っている
と思い直すような
そんな遡行や
立ち返りならば
あっても
いいかもしれない
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