山花開似錦 澗水湛如藍
碧巌録
人は無の前で完全に平等
人どころか
あらゆるものが平等
なにをした
なにをしなかった
なにを持っている
なにを持っていない
なんの能力がある
なんの能力がない
どんな容姿だ
どんな容姿でない
どんな取り巻きがいる
どんな取り巻きがいない
どれもこれも
なにもかも
衰弱と死の時には
どうでもいいものになる
どうでもいいことになる
最後にどうでもいいことになるものが
最後でない時に
ほんとうに
まだ
価値がある
とでもいうのか?
いつまで
価値づけごっこをしているのか?
いつまで
価値遊びに
つきあい続けて
たった一度きりの「いま」と「ここ」
目の前の「これ」を
波のなかで握る砂のように
砂が指のあいだから
洩れて
散っていくように
どんどん失っていくままに
してしまうのか?
どんな価値遊びでも
どんな価値づけごっこでも
一瞬に蒸発する
衰弱と死が
あなたを最後に待っている
その衰弱と死は
容赦がない
あなたの体を蒸発させ
あなたの名を蒸発させ
あなたの記憶を蒸発させ
あなたの思想を蒸発させ
あなたがあなただったことのすべてを
はじめからなにもなかったかのように蒸発させる
完全な無となる準備をせよ
心づもりをせよ
なにも残そうとするな
これまで
なにかがあったかのように思い込みたくても
その思い込みの努力も
真っ先に溶けて
蒸発していく
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