2025年9月8日月曜日

なにひとつ全く残らない

 

  

 

夏休みの宿題で出ていた

図画工作を

子どもたちが学校に運んでいく

 

しばらく

教室の後ろの整理ボックスの上や

窓際の台の上に飾られる

 

秋も深まる頃には

そろそろ家に持って帰りなさい

と先生が言う

 

夏休み中に苦心して作った作品を

子どもたちはやがて

めんどくさいような気持ちで家に持ち帰る

 

家に戻った図画工作を

ずっとどこかに飾っておいたり

ていねいに保管しておくのは稀だろう

 

どれほど苦心惨憺した制作物も

埃は被るし飽きられてもくるしで

どこかの時点で壊され捨てられてしまう

 

夏の暑さにも負けずに

あんなに頑張ってこしらえた作品が

時機を逸し色褪せたゴミとなっていく

 

地上で人間が作るものすべても

思うことも発見も感じとったことも

どれもこれもこの夏の図画工作

 

どれほど苦心惨憺した制作物も

埃は被るし飽きられてもくるしで

どこかの時点で壊され捨てられていく

 

地上にあることの困難にも負けずに

各人あんなに頑張ってこしらえた制作物が

時機を逸し色褪せたゴミとなっていく

 

なにひとつ全く残らない

名は残るとか精神は残るとかポエムしても

地球そのものがまるごと消え去っていく









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