全国追悼飲酒会

 

  

 

全国追悼飲酒会に加わっていると

とにかく忙しい

 

国内のどこにでも呼び出されるし

（もちろん

旅費は自前だ）

人が死ぬたびに飲み会だ

 

会のメンバーが死んでも飲み会だが

メンバーに関わりのある人が死んでも

なんやかやとかこつけて飲み会だ

 

すごい時には

東西南北見わたすばかり

座って飲んでいる姿だらけになる

醍醐の花見もこれほどでは

と思わされる

 

ちょっと少なめだなという時も

ザッと100人ほどは飲んでいる

総数9000万人はいるとか

いないとか言われるメンバー数で

どんな機会も逃さずに飲もうと

虎視眈々と狙っているものだから

ちょっと少なめだなと見ているうちに

ドバッと数千人になっていることも

これまた年中のこと

 

さっきも出席してきて

「このたびはまことにご愁傷様で～す」

とあちこちで交わされるのを聞きながら

日本酒をちびちび飲んできた

 

がぼがぼ飲むわけではないから

そんなに酔いもしないのだが

知りあいが「ほらほら」と止めてきて

「そのぐらいでもうやめといて。

明日もあさっても予定入ってるからね」

 

そうして太字のサインペンみたいな

細い竹の管に酒が入ったものばかり

持ってこさせるようになって

「あとはこれだけ飲むようにね」

とよけいな注意をしてくる

 

まったくよけいな配慮しやがって

とは思うものの

明日もあさっても遠方で

追悼飲み会が重なっているとあっては

きょうはほどほどにしておくのも

たしかに必要というところ