2025年9月3日水曜日

おれが日本人をやっていた頃



 

おれが日本人をやっていた頃

子どもの夏の朝には

ラジオ体操というのに行かねばならず

体操会場でかかるラジオの

あの音楽が

ダサくて

ダサくて

つきあってられなかった

 

ラジオ体操はきらいではなかったし

朝に近所の広場に集まるのもいやではなかったし

ほんとを言えばあの音楽も

とりたてて嫌いではなかったけれど

それらが集結した状態のなかに身を置けと言われると

ダサくて

ダサくて

つきあってられなかった

 

子どもとはいえ

じつは

どこかで耳にしたワーグナーの

あれやこれやの序曲が

夏の朝にはもっと合っている

と思えて

しょうがなかった

 

リヒャルト・シュトラウスの

『ツァラトゥストラかく語りき』でも

よかったし

なんなら

モーツァルトの交響曲第41番でも

よかった

 

40番の第4楽章の悲愴感は

ちょっと

夏の朝の感じとは

違うかな?

 

ベートーベンの第7番なんかも

よかったかもな

 

子どもだったから

それらを詳しく知ってもいないし

小耳に挟む程度に

どこかで聞いただけだったけれど

とにかく

ラジオ体操のあれは

ダサくて

ダサくて

つきあってられなかった

 

そんなダサさを

煮出して臭く濃縮したような自民党や

ほかの政党が

その後の時期にもしばらく存在していたが

まだ

こんなのがいるのかと

ダサくて

ダサくて

つきあってられなかった

 

おれが日本人をやっていた頃

むかしむかしの

おはなし

 

 

 


0 件のコメント: