おれが日本人をやっていた頃
子どもの夏の朝には
ラジオ体操というのに行かねばならず
体操会場でかかるラジオの
あの音楽が
ダサくて
ダサくて
つきあってられなかった
ラジオ体操はきらいではなかったし
朝に近所の広場に集まるのもいやではなかったし
ほんとを言えばあの音楽も
とりたてて嫌いではなかったけれど
それらが集結した状態のなかに身を置けと言われると
ダサくて
ダサくて
つきあってられなかった
子どもとはいえ
じつは
どこかで耳にしたワーグナーの
あれやこれやの序曲が
夏の朝にはもっと合っている
と思えて
しょうがなかった
リヒャルト・シュトラウスの
『ツァラトゥストラかく語りき』でも
よかったし
なんなら
モーツァルトの交響曲第41番でも
よかった
第40番の第4楽章の悲愴感は
ちょっと
夏の朝の感じとは
違うかな?
ベートーベンの第7番なんかも
よかったかもな
子どもだったから
それらを詳しく知ってもいないし
小耳に挟む程度に
どこかで聞いただけだったけれど
とにかく
ラジオ体操のあれは
ダサくて
ダサくて
つきあってられなかった
そんなダサさを
煮出して臭く濃縮したような自民党や
ほかの政党が
その後の時期にもしばらく存在していたが
まだ
こんなのがいるのかと
ダサくて
ダサくて
つきあってられなかった
おれが日本人をやっていた頃
の
むかしむかしの
おはなし
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