どうかね？島木赤彦さん？

自然を描くとか

私心なしに見るなどと

言いがちになる思念がたゆたっているから

にっぽんは怖い

それらは音であり文字であるだけで

そもそも思念がそれらでできている

自然を描くとか

私心なしに…などと言う時

あらかじめ自然や私心なしの状態は奪われている

むしろ思念を成す雑多な文字や音だけで

じぶんはごちゃまぜの細工をすると認識するほうがよほど正確で

より正確なほうが問題把握やその確定にまつわる煉獄からは

いっそう出やすいはずだろうから

言わないことだ

思わないことだ

狙ったりしないことだ

自然を描くとか

私心なしに見るなどとは

どうかね？

島木赤彦さん？