2018年1月14日日曜日

そういう人生の暮れがたや暮れかたに

 
最寄駅のむこう側に名画座の映画館があるので
映画好きなので会員になり
年間何度でも出入りできるようになって
元を取ったどころか
もう数万円の得になっているが

午前中や昼の回に行けば空いているかと思いきや
逆に混んでいるのは
いわゆる高年齢層の人たちでいっぱいになるから
平日の日中はやくから混むのは
退職した人たちがごそっと集まるから

この現象にいいも悪いもないが
退職後の人たちが午前から映画館に集まって
高年齢層のにおいや雰囲気で
館内が充満しているというのは
どこか旨さの足りない低価格のケーキみたいだ

日中は毎日来ている人たちもいるようで
大きな買い物バックに完備した食べ物や飲み物ばかりか
飛行機用のエア枕まで持っていたりすると
さすがに歳が行っているだけあって
なかなかのツワモノだと思う

もう仕事にも出ない高年齢層で
パチンコだのゲートボールだのに行かない人たちは
こういう場所に集まってきたりもするわけか
黙って闇の中でスクリーンに向かう施設だから
たがいに交換しあったりするわけでもない

たぶん同じ映画を何度も見直して
毎日のように日中の数時間をここで過ごし
その後は喫茶店で本でも読み
それからスーパーにでも寄って
うちで夕食を作って終わる日々だろうか

そういう人生の暮れがたや暮れかたに
いいも悪いもないが
映画を見た後にトリュフォーやバザンたちが
激しい映画論を交わしたような雰囲気や性格や時代は
ここにはどうやらあり得ようもない



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