2018年4月1日日曜日

愛とは棄てることなんだよ



愚かものはいつも小さなことにこだわっている
だから彼らはいつまでも狭小だ

悟りごっこが続いている
あらゆる領域で
とりわけ人生の意味探求狂クラスで
人生の最大価値確定狂クラスで

ぼくは昼食の時間になる前に
廊下の外
美しくクロッカスとスイセンの咲く中庭で
ひとりでミルクを飲んでしまい
秘密の小川へむかった
メダカや名も知らぬ小魚たちが
そこでは楽しそう
かれらの上に小さな葉っぱを落したりして
ぼくは何十年も遊んだ

だれだって
嫌いだった学校にふと戻りたくなることもある
たんなる懐かしさから

戻ってみると
学校の校舎は跡形もなく
雑草の繁る広い野原になっていた
ところが
そこでなにか教えている人の姿がうっすら動いていて
よく見ると
成長した後のぼくだった
あまりにうっすらと透けていて
じぶんからとうの昔に魂が抜けていることにさえ
気づいていないようだった

あいつでは
なく
ぼくが魂なのさ

それに
成長したぼくなどぼくには必要ない

棄てることだけは
だれもが強いられる宇宙だ

愛とは
棄てることなんだよ



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