2021年6月12日土曜日

ご飯がダメ過ぎて

  

行かなくてもよかったのだが

つまらない善意と興味本意さから

埼玉の大宮とかいうところの奥地まで何十年ぶりに出かけ

時間つぶしも兼ねて

医療施設の食堂でカレーを食べてみたら

カレー自体の味はそう悪くも良くもなかったものの

ご飯がダメ過ぎて

ダマっぽいというか何というか

ところどころ塊になっていたりする

うまいものを期待して注文したわけでもなかったが

それでも

こんなものが700円以上するので

文化の差というか

生活レベルの差というのは

こんなところに歴然と出てしまうのか

と思い直した

 

思い出したのは

たびたび行く神保町の中国料理店で

このあいだ

そこではじめてカレーを食べた

賄い料理だったものを客にも出すようになったそうで

カレーの名店がいっぱいの神保町では

カレーで御座いとは恥ずかしくていえませんけれど

と店主は言っていた

ところが試してみたら

これがうまいし量も多い

しかも東京のど真ん中で900円しかしない

わたしが選んだのは

このカレーにこの店の名物の豚角煮が三切れ載っているもので

それが載ると値段が少し上がってしまうが

うまさは倍加する

中国料理店でカレーなんぞ

と長いこと拒否してきたのだが

なんでも一度は試してみるものだなと

ちょっと開眼させられた一品だった

 

どうしても

このふたつのカレーを比べてしまう

ど田舎なのに700円以上のダメカレー

神保町の名品の900円カレー

まぁ

文化の差だの

生活レベルの差だの

大げさなことを言うほどのテーマでもないのだが

しかし

こういう差は

受けてきた批評の量の差から来るものだろう

あるいは

耳に飛んでこなくても

客の脳内や舌の上で発生するであろう声なき批評を

どれだけ聞き取れるか

その敏感さによる

 

さんざん批判され

ビシバシやられてきたか

来なかったか

いわゆる文化というものの形成には

他の道などあり得ない




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