2022年3月11日金曜日

さらにべつの夢の谷のようなものの底へ


 

夢を見ていても

覚めていくのを感じるべつの認識がある

眠っていても

起きていても

ひとつの意識状態だけに支配されているわけではない

ある意識が優勢になっている場合が多いが

けっこう容易に

べつの意識に優勢ぐあいが転換するものでもある

 

ところで

夢のなかで

さらにべつの夢の谷のようなものの底へ落ちていくことが

よくあるが

あれはどういうことだろう

6時間も7時間も眠ってきていて

ふつうの意味ではもう疲れてもおらず

さあ起きようか

と思ってもいるところで

まるで宙に浮かんだような感じで

谷の底へと落ちていく

するとべつの現実の時間と空間がひらけていく

そうして

その時間と現実のなかで

また何時間も過ごし

いつのまにか9時間も10時間も眠ったりしてしまっている

 

シュノーケリングして

南洋の島のまわりをひとりで泳いでいた時

海中で深く暗く落ち込んでいる谷のようなところの上に

出ることがあった

こちらは水面近くに浮いて泳いでいるし

少し潜ってもせいぜい数メートル程度なので

海中の暗い谷に落ち込んでいくわけではないが

沖合いの深い海の底に通じていく巨大な闇の上に出てみると

なんとも言えない恐怖を感じたものだった

 

夢のなかで

べつの夢の谷のようなものが現われる時

海のなかに見えたその暗い谷に似たものを感じる

しかし

夢のなかでのべつの夢の谷は

暗くもなく

恐ろしくもない

べつの現実の時間と空間として

はっきりと存在し

起床した後はじぶんの覚醒意識の底に

人生の時間の一部として

確実に記録されているのを感じる






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