それらのすべて覚えている

  

なにもかも

流れのように自然にやってきて

あるものは留まり

ほんのわずか留まり

つかのま留まり

しばらく留まり

わたしの一部のようになって血肉のうちに留まった

 

そうして

あるものは流れ去り

すぐに流れ去り

しばらくして流れ去り

わたしの一部のようになったのに流れ去った

 

わたしはそれらのすべて覚えている

 

ときどき忘れかけることもあるので

疲れたわけでもないのに

ソファやベンチに身を任せて

惚けた人のように思い出そうとしていることがある

何十年も前のバスマットの柄や

何年何月何日の雪の降った日の夕食の

ボウルの中のスープの具材などを

執拗に思い出そうとしていたりする