お化けばなしを聞いていたら
入居した中古マンションの玄関からのびる廊下のはなしで
三歳の娘が長いその廊下の奥の隅で
いつもひとりでだれかとしゃべっているのだとか
娘だけに見えるだれかがそこにいるかのようで
あるとき娘はお父さんに
オネエサンがうちに入ってきていいか?って言ってるけど
お父さん、いい?
と真顔で聞いてきたので
お父さんはとっさに恐くなって
「わるいけどそれはダメ」と答えたそうな
もう十数年以上前に横浜のほうに住まいをさがして
妻と訪れてみた集合住宅の面積の広い物件も
玄関からずいぶん廊下が長くのびていて
しかも明かりをつけてもなんとなく暗くて
ここに住んでみたらこの暗さに慣れるのだろうかな
などと不安に思ったものだった
廊下を奥まで進むと広いサロンに出て
そこからは建物の前の公園や森や山が見えて
なかなか気持ちのよい眺めだったのだが
職場には遠すぎるということで結局は住まなかった
けれども長い廊下のはなしを聞いたりすると
すぐに記憶に蘇ってくるのは住まなかったそこの廊下
たくさんの物件をあれこれ見てまわったし
少なからぬ数の住まいを移り住んできたので
廊下のはなしといえば他にもいろいろあるけれども
それらについては
また
べつの機会に
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