夜が冷える際には
ヴェランダに出しているアレカヤシを
部屋のなかに入れて
凍えないようにしてやる
机のすぐ脇に置いて
深更を
ともに過ごす
ときどき
奇妙なこともあるのだ
ズズズズズズと
アレカヤシが音を立てる時が
ある
虫でもいるのだろうか?
そう思って
たくさんある葉を
つぶさに吟味してみたこともあるが
なにも見つからなかった
でも
音はするのだ
ズズズズズズ
ズズズズズズ
ズズズズズズ
葉も眠って
いびきでもかいているのか?
それとも
なにか呟いてでも
いるのか?
そんなふうに
思いながら
ああ
いろんなことが終わっていって
しまったな
と
満天の星の夜空を見上げるように
ぼくは
ぼくの狭い今生を
ふと
見渡している
今年も
生き生きした菜の花の
突き抜けるような黄色を見られるだろうか?
ズズズズズズ
ズズズズズズ
ズズズズズズ
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