2025年2月19日水曜日

朝のひかりに消えていく亡霊たちのように

   

 

 

目覚める時には

そこまでに見たあまりに多くの夢の思い出が

あたまのまわりに浮いていて

図書館も

書店も

映画館も

データーベースもいらないような

豊かさだ

 

からだを起こしてから

顔を洗ったり

口をゆすいだりして

朝食を食べはじめる頃まで

夢の思い出たちは

空中図書館や

空中映画館のように

あたまのまわりを漂っている

 

けれども

どれかひとつに

注意を集めて

眺め直していこうとすると

朝のひかりに消えていく亡霊たちのように

夢たちはうすく粗くなっていき

かろうじて意識に残る

いくつかを思い出そうと努めても

使いやすい紋切り型のストーリー掬い用の網で

ずいぶん歪めたかたちで

大ざっぱに拾いとってみるだけ

 





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