目覚める時には
そこまでに見たあまりに多くの夢の思い出が
あたまのまわりに浮いていて
図書館も
書店も
映画館も
データーベースもいらないような
豊かさだ
からだを起こしてから
顔を洗ったり
口をゆすいだりして
朝食を食べはじめる頃まで
夢の思い出たちは
空中図書館や
空中映画館のように
あたまのまわりを漂っている
けれども
どれかひとつに
注意を集めて
眺め直していこうとすると
朝のひかりに消えていく亡霊たちのように
夢たちはうすく粗くなっていき
かろうじて意識に残る
いくつかを思い出そうと努めても
使いやすい紋切り型のストーリー掬い用の網で
ずいぶん歪めたかたちで
大ざっぱに拾いとってみるだけ
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