こんな夢が
起床した後も
記憶に残り続けた
町のなかを
そう速くもない速度で走る一車両だけの電車の
線路のわきで
飼っている大きな犬が
なにを
思っているのか
動かなくなり
腹ばいになってしまったので
動き出すまで
待ち続けている
そこは
電車の終点付近で
線路の終わるところには
コンクリートの大きな
しかし低い壁が作られていて
万が一電車が止まれなくなっても
その壁にぶつかれば止められるように
なっている
運転手たちは正確な運転技術を持っているので
壁に電車をぶつけないで済ませられるのに
なぜだか
どーんと音を立てて
壁にぶつかって停車することも多い
それが知られてか
壁にぶつかる電車を使って
安楽死させようとして
末期的な病気に罹ったり
老衰し切った犬が
よく連れて来られて
壁のところに
押さえつけられていたりする
電車と壁の間で
犬を潰して即死させようとするのだ
飼っている大きな犬が
なかなか動き出さないあいだ
今日もこの壁に
犬が一匹
押さえつけられているのを
ぼくは見ていた
けっこう大きな犬で
電車にぶつけでもしないと
なかなかいっぺんには死なないだろうな
と思えた
飼い主とその妻と思われるふたりが
犬の前脚を左右からひっぱりぎみにして
壁に干物みたいにして押さえている
終点まで来た電車が
この犬の背に衝突していって
犬の背骨を砕き
内臓を潰すことになるのか
と思いながら
人間のやることは
とにかくも悲惨なことが多いと
確認し直すのだった
この夢は
壁に押さえられた犬が潰されるところまでは
展開していかなかったようで
そのあたりの記憶は残っていない
ただ
いつまでも
ぼくの大きな飼い犬は動かず
わきに立ったまま
ぼくはのんびりと
周囲の町の様子などを
眺め続けていた
0 件のコメント:
コメントを投稿