2025年2月19日水曜日

いつまでもぼくの大きな飼い犬は動かず

 

 

 

こんな夢が

起床した後も

記憶に残り続けた

 

町のなかを

そう速くもない速度で走る一車両だけの電車の

線路のわきで

飼っている大きな犬が

なにを

思っているのか

動かなくなり

腹ばいになってしまったので

動き出すまで

待ち続けている

 

そこは

電車の終点付近で

線路の終わるところには

コンクリートの大きな

しかし低い壁が作られていて

万が一電車が止まれなくなっても

その壁にぶつかれば止められるように

なっている

 

運転手たちは正確な運転技術を持っているので

壁に電車をぶつけないで済ませられるのに

なぜだか

どーんと音を立てて

壁にぶつかって停車することも多い

 

それが知られてか

壁にぶつかる電車を使って

安楽死させようとして

末期的な病気に罹ったり

老衰し切った犬が

よく連れて来られて

壁のところに

押さえつけられていたりする

電車と壁の間で

犬を潰して即死させようとするのだ

 

飼っている大きな犬が

なかなか動き出さないあいだ

今日もこの壁に

犬が一匹

押さえつけられているのを

ぼくは見ていた

けっこう大きな犬で

電車にぶつけでもしないと

なかなかいっぺんには死なないだろうな

と思えた

飼い主とその妻と思われるふたりが

犬の前脚を左右からひっぱりぎみにして

壁に干物みたいにして押さえている

終点まで来た電車が

この犬の背に衝突していって

犬の背骨を砕き

内臓を潰すことになるのか

と思いながら

人間のやることは

とにかくも悲惨なことが多いと

確認し直すのだった

 

この夢は

壁に押さえられた犬が潰されるところまでは

展開していかなかったようで

そのあたりの記憶は残っていない

 

ただ

いつまでも

ぼくの大きな飼い犬は動かず

わきに立ったまま

ぼくはのんびりと

周囲の町の様子などを

眺め続けていた





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