ひとつの月が終わるたびに
子どもの頃
ちょっとさびしかった
月のさいごの日など
その月の
その月らしさを
よく見定めておこうと思って
外で遊んでいながらも
きょろきょろ
あっちこっち見まわして
月の顔を見つめておこうと
よく思った
ひとつの月が終わるたびに
おなじ名前の月は
また来年も来るけれど
おなじ名前でも今年のこの月は
もう二度と来ないのだと
思いながら
空気さえも見つめようとし
いっぱいに吸い込んでみようとし
手をひらひらさせて
触れてみようとさえした
ひとつの月が終わるたびに
なにかとの別れかたの
ずいぶん下手くそな
かっこわるい子だ
などとじぶんを思いながら
眠りに落ちるまで
さびしみ続けた
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