2025年2月28日金曜日

ひとつの月が終わるたびに

 

 

 

ひとつの月が終わるたびに

子どもの頃

ちょっとさびしかった

 

月のさいごの日など

その月の

その月らしさを

よく見定めておこうと思って

外で遊んでいながらも

きょろきょろ

あっちこっち見まわして

月の顔を見つめておこうと

よく思った

 

ひとつの月が終わるたびに

おなじ名前の月は

また来年も来るけれど

おなじ名前でも今年のこの月は

もう二度と来ないのだと

思いながら

空気さえも見つめようとし

いっぱいに吸い込んでみようとし

手をひらひらさせて

触れてみようとさえした

 

ひとつの月が終わるたびに

なにかとの別れかたの

ずいぶん下手くそな

かっこわるい子だ

などとじぶんを思いながら

眠りに落ちるまで

さびしみ続けた

 





0 件のコメント: