Hommes, ici n’a point de moquerie
François Villon
教科書会社の人が
フランス語のテキストの新刷と
付随したCDやDVDを送ってきてくれたので
お礼メールを書いた
本業ではないが
(ちなみに地球上にぼくの本業はない)
バイトでフランス語をちょこっと教えたりしているので
こういうこともあるわけ
フランス語を教えるバイトを始めた頃は
世のオバサマがた同様
学生たちにも「おフランス」への憧れがあって
そこのところをチョチョっと突っつくと
いわゆる勉強のモチベーションとかいうのがちょっと上がった
けれども
時代の変化というのはすごくて
しかも
フランス自体の人気度の凋落もすごくて
長いこと日本で機能してきた「おフランス」への憧れは
もうほとんど機能しなくなっている
一般の学生たちは
フランスとかフランス文化にすっかり関心を失ってもいる
そんなことも書き添えた
軽佻浮薄なことではあっても
ちょっと前までなら
女子学生たちには「ブランド品」への憧れもあった
それらにまつわる話を振りかけると
めんどうな文法の話をしたりする時でも
気分を取りなおしてもらえて目がキリッとし直してくる
ところが
そんな「ブランド品」話のフリカケなども
なかなかむずかしくなってきた
日本経済の凋落と国内の貧富差の拡大で
「ブランド品」になど全く手が届かないどころか
視野にも入ってこない家庭の学生が増えた
銀座に行けばCHANELやVUITTONには毎日長蛇の列が出
毎週のように数十万円のものを買っていく客層がいるが
そういう層とそうでない層との差はどんどん大きくなっていて
ふつうの大学生にはもはや憧れの対象にもならない
銀座のBULGARIのカフェやレストランなどにランチの時間に
ちょこっとのパスタにちょこっとのサラダがついたランチが
だいたい4000円から5000円ぐらいだったりするが
けっこうたくさんの大学生や20代の若者たちが平然と頼んでいる
毎日のランチでそんな値段を楽々払えて
ランチの後はフェラーリで移動するような層が
それなりの人数で存在する事実があるTOKYOで
大学の「フランス語」教育はどういうスタンスを取るべきか
けっこう考えさせられますよ
とも
書き添えておいた
「おめえさんがた、人間たち、冗談ごとじゃあねえんだぜ、
と
思い出されてきてしまう
あの
フランソワ・ヴィヨンの詩句
Hommes, ici n’a point de moquerie*
(オンム、イスィ ナポワン ドゥ モクリ)
と
*フランソワ・ヴィヨン「ヴィヨンの墓碑銘(首吊りのバラード)
François Villon 《L’épitaphe de Villon (en forme de ballade) 》
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