眠らぬまま
起き続けていたものの
午後二時にはついに眠くなって
大いなる
昼の眠りに
われ
就けり
寝に就くのを
確認しに寝室を覗きにきた妻が
また
出ていって
扉を閉めるのを
眠りに陥っていく目で追いながら
わたしは見た!
現在というものが過去に成り代わっていくさまを!
現在だった光景を
後々に過去として思い出すのではなく
現在というものが目の前で過去というものに成っていく瞬間を
わたしは見た!
ああ!
これが現在から過去への変化の瞬間か!
と
眠りにも妨げられず閉じられることのない目で
わたしは見た!
時間よ!
もう
おまえのことを
わたしは超克した!
シェイクスピアの『冬物語』の
第四幕一場で
おまえがどんな長広舌をしようとも
おまえのアキレスの腱を
わたしは掴んだ!
日々刻々
どんな時も居丈高に
傲岸不遜に
われらを支配しつつ
現われては
順繰り順繰りと消えゆき
絶えぬおしゃべりを続けるおまえ
時間!
おまえのことを
かつて
アナトール・フランスは言った
「こう語るのは誰か?
わたしが知り過ぎている老人、
時間だ」*
と
*アナトール・フランス『シルヴェストル・ボナールの罪』、「1
Anatole France « Le crime de Sylvestre Bonnard » 1881
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