2015年7月31日金曜日

夏夜想

  

夜の蝉が盛りへ上りつめて行く
湿り気の声を鳴いてゐる

街灯近くの木々は蛍光色に近い
不思議なグリーンをして

此処に居つづけてゐる私を誘ひ
続けてゐるだらうか

記憶のむかふに近い街々も暑い
こちらの村々は暗む

茶をなにかと淹れてくれた女も
ふつと居なくなつて久しい

 まだ蝗はさう出てゐないだらうが
秋はいつも足早に来てしまふ

 生きてゐることは斧を研ぐこと
命を怠りなく絶つ時のために




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