自分が見てもらいたいもの以外のものを

五木寛之が三島由紀夫のことを書いていた

三島が筋肉を固めて見せ

五木君触って見たまえ

どうだ固いだろう

人間鍛えればこうなれるもんなんだ

そんなことを言ったという

五木はそれほど背が高くなく

立って人と話すと

相手を見上げることが多くなるそうだが

この時は

三島由紀夫を見下ろしながら

話を聞いていたそうな

努力しても鍛えても

どうにもならないものもあるんだな

と三島を見下ろしながら

よくわかったと五木はいうが

自分が見てもらいたいもの以外のものを

なるほど他人は見下ろしていたりする